忍者ブログ
季節外れとは言わないで 判ってる。
[480]  [479]  [478]  [477]  [476]  [475]  [474]  [473]  [472]  [471]  [470
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「アリオンさんほんとはおれのことキライじゃないんですか」

ジョカが一息で言い切ったそんな言葉に、アリオーシュは背筋にひゅっと冷たいものが入ってくる気がした。いつものように巻いてやっている譜帯をつまむ指先が静止する。

「アリオンさんはいつもおれのこと気にしてくれるけど、
 おれはみんなとはちがうし、
 おれはアリオンさんのお父さんの」
「…ジョーカ」

口の中でぐるぐる渦巻いた重いものを飲み込んで、アリオーシュは空いた左手でジョカの額をぴん、と小突いた。
それまでガラス球のような目をしていたジョカは、ふるりと震えてうつむいた顔を上げる。

「いいか、ジョカ。
 俺の父親は29年前にフェレス島で死んだ。
 で、お前は13年前に生まれた。
 よってレクエラート、とジョカ、お前は別人」
「でも」
「でもじゃねえ。
 それに俺、お前のことはスキだぜ?兄貴面できるし、世話しがいがあるし」

自分の中の異物も、ジョカの中の異物も、何もかも取り払うように笑ってみせれば、ジョカはとすんとアリオーシュの肩にもたれ掛かる。
そのまま譜帯を巻きかけの両腕をアリオーシュの背中に回して、母親譲りの太陽のような笑みを浮かべれば、それはいつものジョカだった。

「あーもうアリオンさんスキ!嫁に来てよ!」
「おっと悪いな既婚者だ」
「うわーん!」

彼の母親はきっと知らない、彼のあんな顔を知らない。彼は母親の前では「ジョカフェリテ」以外の何者でもない。

「…アリオーシュ」

顔を埋めたまま呟いたジョカ、オリジナルと同じその声に、アリオーシュは身を震わせた。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[01/19 スーパーコピー時計]
[11/07 スーパーコピー ウブロ]
[10/09 まりや]
[06/24 えす]
[05/10 結花]
最新TB
プロフィール
HN:
性別:
女性
趣味:
OPであっしゅのふとももを凝視する
バーコード
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]